“ありがとうベルハウスの会”をリポート
ムサビ生なら誰もが一度は利用したことがある学内売店
「ベルハウス」が、今年の1月で丸52年の歴史に
幕を下ろしました。
今までよく知らなかった「ベルハウス」の歴史や
名前の由来、ベルハウスの人々について……。
「ベルのおじちゃん・おばちゃん」こと、
淵上國治・浩子さんにインタビューをしました。
―まず、「ベルハウス」の歴史を教えてください。
元々、僕(國治さん)の父が津田塾で学生食堂をしていて、
その繋がりで僕も津田塾で教科書や売店を
経営していたんです。
そうしましたら武蔵野美術大学からも、教科書の販売と
あわせ、売店の運営もお話をいただいたのがきっかけで、
はじまりました。
ベルハウスの場所も昔はここにあったんじゃないんです。
世界堂の前にあった「土井画材」や「シスコ(喫茶店)」が
あって、そのお店の近くでやっていました。
その後、平成 6年に今の場所(鷹の台ホールC棟)に
移動して来ました。
―「ベルハウス」の名前の由来はどこから?
昔は「ただの売店さん」だったけど、
ベルハウスっていうのは、「ベル」っていう名前の
レストランをやっていたんですよ。
それで途中から「ベル」っていうお店を
法人化しようと思ったところ、
既に他で登記されていたんですよね。
だから、急遽「ハウス」をつけて、「ベルハウス」に。
「ベルの家」って意味にして。
よく「ベル」って呼ばれているけど、
会社の名前は「ベルハウス」なんです(笑)
学生さんたちの間では、「ベルハ」とか「スーパーベル」って
学年ごとに違う呼び方をする子もいて面白いです。
―52年間ムサビにいて一番の思い出ではなんでしょうか?
「男神輿」が昔はもっとすごかったですね。
鷹の台駅付近を練り歩いてて、後ろからリアカーが
付いていって、ひと周りして帰ってくると、
リアカーの中に食べ物や飲み物が
わんさか入っていたりして(笑)
昔は芸術祭で花火もあったんですよ。
芸術祭とかイベントは、見てて楽しかったけど、
普段の日常が一番でした。
見かけない子をみると、「1年生?」って聞いたりして、
色んな子と積極的に話をしてました。
最初、若い男の子とどんな話をすればいいのかって
分からなかったけど、声をかけたりするとすぐに挨拶を
返してくれたりして、可愛かったですね。
―学生の頃、ベルハウスのおばちゃんには学校以外のことでも
よく相談にのってくれたことを覚えています。
おばちゃんは本当に「聞き上手」ですよね。
みんな実家から通っている子ばかりじゃなくて、
家族も近くにいる訳でもないし、
私たちも若い頃は、「若いからいいね」ってよく言われたけど、
若いからいい事なんてなかった。
だから学生さんには、これからだよって伝えたかったんです。
美術で食べていくのは大変だと思うので、
本当に頑張ってほしくて。
―最後にムサビの在校生や卒業生にメッセージを。
これからも頑張ってください。
いつも家に帰ったらムサビの話なんかして、
夫婦共々人生の中で一番楽しい時間でした。
これからのご活躍とご健闘をお祈りしています。
久米川の方でギャラリーと喫茶店もやっているので、
もし良ければそちらの方にも遊びに来てくださいね。
− 編集後記
取材日には、卒業・修了制作展も行われる中、
有志セレモニーによる「ありがとうベルハウスの会」が
開催されました。
約30名の卒業生や在校生が集まり、
特別ゲストの長澤忠徳学長から、
「近隣にも売店がほとんどない不毛の地で営業を
スタートさせた貴店は本校にとって一つの希望の光でした」
と感謝状が贈られました。
世界堂の店長は、学生さんときちんと目を見て話す姿が
印象的だったと話します。
セレモニー中、顔見知りの卒業生が集まる中、
おばちゃんが涙目になる場面も。
最後には集まった全員で集合写真が撮られました。
〈協力〉取材:吉野 舞 写真:宮崎 健太郎
画廊喫茶「ギャラリーベルハウス」
住所:〒189-0013東村山市栄町2-27-4
電話:042-396-8763
営業:不定休