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msb! トークリレー05【モノづくりを仕事にする】


モノづくりを仕事にする

2004年度 造形学部建築学科卒業
前田 矩仁子(高知支部長)

【スライド写真について】
1.芸祭野フェス、2001
2.担当物件、2015-2022

学生時代の思い出
高校生の私は漠然と、モノづくりがしたいと思っていた。陶芸をしていた祖父や、何でも手作りする母の影響が大きかったのかもしれない。高校は進学校だったため専門学校という選択肢は無く、興味の持てそうな学部を探しては大学に資料請求を繰り返していた。その中で私にヒットしたのがムサビだった。と言ってもこの時点で高校2年の冬。絵も描けない上、高知には美術予備校など無い。デザイン系の学科は諦め、得意だった数学と少しは描けるデッサンで受験可能な建築学科を志望することにした。

21世紀がスタートした2001年4月、建築学科に無事入学することができた。入学当初は実技の授業が多く、周りのみんなの絵の上手さや器用さ、技術力に圧倒された。建築に対する熱量もさほど無く、実技も座学もこなすのがやっとの私は、学科での居場所を見つけられず、サークルにいる時間が長くなっていた。そんな1年の5月、先輩から芸祭の「野フェス」の実行委員長をやってみないかと声が掛かった。当時は日本でもFUJIROCKやSUMMER SONICなどの野外音楽フェスが盛り上がり始めていた時期。自分の不甲斐なさに落胆し、あり余る体力の使い道を失っていた私は、これだ!と快諾。授業はさて置き「野フェス」のため、必死に、頭と体力を使った。学校からの予算だけでは面白いことはできないと、スポンサー集めにも走り回った。音響や照明にもこだわり、それまでには無かったステージ装飾もやってみることにした。実行委員4人で検討を重ね、業者さんと打合せをし、いろいろな人に協力を仰いだ。迎えた10月末、12号館前広場に組み上げた大きなステージで、朝から夜までライブが行われた。4日間で60組のバンドに出演してもらい、ラストを飾るゲストライブまで爆音を鳴らし続けた。駆け抜けた半年間、最後は最高に楽しかった。初めて味わう達成感と充実感だった。たくさんの人々の協力でイベントを興す楽しさを知ることができた。

それからは楽しかった思いを引き連れ、サークル中心の生活を送る。3年の月日はあっという間に流れ、建築熱はさほど上がらないままに卒業を迎えた2005年3月、家の事情で急遽、高知へ戻ることになった。ずっと東京にいるつもりだったのに、人生何があるかわからない。

地元高知での仕事
運転免許がないと就職できない驚きの田舎ルール。まずは自動車学校に通うことから始まった。就職先を探さないといけないが、建築学科は卒業したものの、自分が建築をやっていくのか、何をやりたいのか、ずっと迷っていた。そんな私に声を掛けてくれたのが、地元広告代理店の女性社長。せっかくムサビを出たんだからと、知り合いの設計事務所を紹介してくれた。そこはスーパーなどの店舗設計が主な仕事で、まずは先輩方の補助業務。図面の青焼きや製本から始まり、図面修正、現場や打合せの同行などを経て、2年目に住宅の現場監理を1人でやってみることになった。図面が建物になっていく面白さよりも不安でいっぱい、現場が怖かった。でも現場に通ううちに図面の線1本の意味が段々分かるようになり、監督や職人さんと議論できるようになると、現場に行くことが楽しくなってきた。協力し合って作り上げていく、あの「野フェス」の時の感覚に似ていると思った。
その頃、高知駅舎が内藤廣さんの設計で建て替わった。駅前広場の計画について有志で声をあげようというシンポジウムがあり、パネリストとして簡単な設計提案を出した。そのシンポジウムに、今の事務所の所長が参加していた。事務所の見学に来てみないかと声を掛けてもらったことがきっかけで、1年後に移籍。現在に至るまで十数年お世話になっている。お客様にも恵まれ、商業施設や工場、事務所ビルや病院など幅広く経験させてもらい、今は設計主任を拝命している。

建築というモノづくり
建築は概念的に見ると大きなモノづくりだが、実は1mm単位の詳細な設計図面から、多くの人の手で造り上げていく緻密なモノづくりだ。しかし緻密なものを積み上げても建築物ができるわけではない。入学当初の共通絵画、絵の描けない私はインパクトで勝負だ!と大きなキャンバスを作ったが、結局小さな一筆にこだわりすぎて肝心の絵が小さく大失敗に終わった。キャンバスの大きさに対応するプランがないまま細部から描き、全体を見ることができなかった。高校生の時分も、自分の手による身近なモノづくりしか見えていなかったのだろう。あれから20年、少しは世の中も俯瞰できるようになった。迷いながらも続けてきた建築を仕事にし、大きく見ながら細部を見ることを心掛けている。

2019年度から校友会の高知支部長を拝命している。コロナ禍で予定していた活動はできていないが、そろそろ皆さんが気軽に参加できる機会づくりから再開していきたい。校友同士の繋がりから面白いモノがうまれ、それが発信していけたら、少しは大学に恩返しできるだろうか、などと考えている。

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