自分の世界観を持ちつづけていくこと
2003年度 造形学部空間演出デザイン学科卒業
小野 奏恵(ファッションデザイナー)
【スライド写真について】
1.Bonpoint AW17 カタログ撮影 2016年
2.Bonpoint SS20 ランウェイショー グラン・パレにて 2019年
3.Bonpoint SS22 キャンペーン撮影バックステージにて 2021年
4.Bonpoint SS22 キャンペーン 2021年
5.Bonpoint AW17 ランウェイショー バックステージにて 2016年
子供服という特殊性
子供服ブランドBonpointでデザイナーをして8年目になります。ファッションの中でも子供服ブランドは、独特な位置にあります。子供の目線からデザインしていく、デザインのプロセスが同じなようで、普段とはまた違う思考回路が必要です。時には正反対な目線からモノを提案していきます。きっと自分の世界観が、子供っぽいものが好きなのも、この職についた理由なのかもしれません。
ファッションへの多角的なアプローチを重ねた日々
ムサビでの4年間は、クリエイターとして活躍する先生方と共に、世界観を持つことの大切さ、表現の自由と思考の深さを学びました。2004年にアパレル会社のデザイナーとして就職してからは環境が180度変わりましたが、クリエイションのプロセスは、学生のころからほぼ変わっていませんでした。自分のデザインしたものが、商品として店頭に並ぶのを見て嬉しかったのを覚えています。傍ら、学生から引き続きアウトプットを続けてきた故に、知識不足や表現の限界に対する物足りなさを感じていました。
ちょうど紙媒体が少しずつデジタルに移り変わり始めていました。2006年からHarper’s BAZAARで編集をしていた5年間は、インプットそのものでした。様々な世界で活躍しているクリエイターに出会い、興味があるすべてのモノに触れることが可能な環境でしたので、今まで以上に深い知識と広い出会いに恵まれました。
フランスでのリスキリングの喜び
技術的にも知識的にもさらに深めたい気持ちが強くなり、渡仏。2010年から通ったファッションスクールStudio Berçotでの2年間は、一度社会人を経てからでしたので、一つ一つの課題への思いが特別で、学ぶ楽しさも格別でした。
ファッションを広い視野で見たムサビ、ファッションデザインに集中したStudio Berçot、また作り手側のデザイナーから、作り手を外から評価する編集者。すべて正反対の立ち位置で、実際やってきたことはバラバラですが、共通していることは芯にファッションがあり、基本的な思考回路は変わっていません。
周りを観察することが好きなのと、自分の世界観を持ちつづけていくことを大切にしています。きっと今もなお、ムサビで学んだ時と同様に、ファッションを広い視点で見ているからこそ、挑戦することに対してためらいがないのだと思います。