猪股 延吉 いのまた のぶよし
株式会社スタンダード通信社 代表取締役社長
(1967年度 造形学部産業デザイン学科 商業デザイン専攻)
1945年生まれ。
日本国内のみならず海外にも強みがある広告代理店のCEO。
ムサビ卒業後、NYのパーソンズ美術大学で学んだ後、NYで2年働く。
ヨーロッパに1年ほど滞在後にスタンダード通信社に入社。
20年前からマネジメントに携わる。クリエイター出身の社長として後輩の育成に力をいれている。
趣味は多彩で、ゴルフ、音楽、高校時代はバスケット、
ムサビ時代にはテニスやスキーなどにも親しんだスポーツマンでもある。現在71歳。
株式会社スタンダード通信社ウェブサイト http://standard.co.jp/
夢をかなえるために大事なことは「ハートで負けるな!」
情熱をもったクリエイター社長
− 学生時代のエピソード
現在のキャンパスとは違って、芝生が広くて、木造建築でした。3年生の時にはじめてコンクリートの校舎が立ちました。雰囲気はアメリカのキャンパスのようで、今と比べて学生の人数も少なく、専門に分かれるまでは一緒に学んでいたことから他の専攻の友人もたくさんできました。学生時代には硬式庭球部やスキー部を最初に仲間とつくったのも良き思い出です。先生もアーティスチックな人で刺激を受けました。
「キッズ向けストレッチパンツ=のびるっちパンツ」広告主:イオン株式会社
昨年、全日本選手権を連覇中の天才空手少女・高野万優(たかのまひろ)ちゃんを起用したTV-CMを制作したところ、YouTubeで20万回以上再生されるなど好評を獲得。第二弾2016年10月よりTV-CMオンエア中。
広告会社:スタンダード通信社グループ(株式会社マレンロウ東京)
− スタンダード通信はどんな会社ですか
車の広告や世界的なゴルフトーナメントも手掛ける広告代理店。世界でも大手の広告会社、(株)マレンロウ東京を子会社に持ち、日本の広告業界のみならず海外の商品を日本に展開させるマーケティングや日本の会社を世界へ広げることなど、国際的な広告代理店として58年もの歴史があります。
スタンダード通信社の特徴としては、営業とクリエイター、マーケティング部門が三位一体であること。新しいものを皆で協力してやっているというオーケストレーションを大切にしています。
− 仕事で大切にしていることは
「考えること・創造力」の2つです。広告の仕事を取るために大事にしていることは、いかにクライアントの商品企画に附随した広告を考えるか。またコンペでは、マーケティングやクリエイティブに他社との違いはあまりない。そんな時にいかにコンペに勝つかは、考える力と創造力、そして何よりも「ハートで負けるな!」ということです。
スタンダード通信社は「ハイブリッドで多様なアイデアから生まれるオリジナリティこそ、われわれの武器です。より獰猛に、より賢く、より革新的に……。」そして、強く優れたアイデアを世の中に送り出すためには新しいものをつくること。人がやってないものをつくるためには、どれだけ考えたか。ぱっと出てくるものじゃない。考えた時間にそれは比例します。コンペでは調査も大事だが、それだけで決まることはない、そこには視点が大事です。
自らがマイクを握るライブを定期的におこなっているそう。音楽業界のそうそうたるメンバーがバックでステージを盛り上げています。
− 現在、ムサビで学んでいる人や卒業生に向けてのメッセージ
クリエイティブを大事に。クライアントと消費者との間を橋渡しするのが広告代理店の仕事です。SNSなど新たなメディアが出てきた現代でも基本のシステムは変わりません。物事には裏と表があります。多面的な視点を持ち、一方向から見ないで深く考えることです。「何よりもハートの強いやつ、情熱が大事! 」とエールを送りたい。
− 美術、デザインの力とは
「人間が生きていく糧」
− 今後の展望
ゴルフトーナメントの仕事はまだ女子オープンのみなので、男子の大会の仕事にも携わりたいと思っています。
− 編集後記
誰もが一度は目にしたことのある広告を手掛けているスタンダード通信社のオフィスの入り口で出迎えてくれるのは、社長自らがつくったという遊び心のあるピンクのキリン。社長室に入るとサイン入りのゴルフボール(ポートレート写真)が目に飛び込んできます。猪股社長自身、30年続けているゴルフはシングルの腕前。仕事も趣味も全力で取り組むバイタリティあふれる紳士です。
取材:磯部 らん [文筆業・利き酒師・マナー講師]
日本酒にまつわるエッセイや生き方についてのコラムを執筆。
http://www.isoberan.com/