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HOME  > 卒業生インタビュー  > No.14 岸田 國昭 [高田世界館 代表、画家]

[msb! caravan]

No.14 岸田 國昭 [高田世界館 代表、画家]

岸田國昭(きしだ・くにあき)
高田世界館 代表、画家
(1990年度 武蔵野美術大学大学院美術専攻油絵コース修了)

30代後半のとき、父親の病気がきっかけで地元である新潟県高田市に戻る。
デザイン事務所勤務を経て、現在は(株)高田広告舎代表取締役社長。
自身が代表として保存運営に携わる高田世界館の広告出版物もつくっている。

高田世界館は1911年 (明治44年) に芝居小屋「高田座」として開業した日本最古級とされる映画館。
現在はNPO法人「街なか映画館再生委員会」によって運営されている。
国の登録有形文化財や近代化産業遺産に指定され、建物の老朽化対策に多くの時間と労力が必要とされてきた。
市民、自治体、各種財団からの支援を受け、現在は建物の保存だけでなく、
街の中でいかに文化を創出し、活用させていくかも考えられている。
まちづくり、映画業界、映画に関わる人たちとつながることのできるボランティアを随時募集している。
http://takadasekaikan.com

【スライド写真について】
1 ご本人ポートレイト
2 高田世界館入り口
3 高田世界館内観
4 看板を見ながら岸田氏から説明をうける校友会広報部長 古川

プロフィールを見る

映画館を通して人を動かしていくことが好き

− 高田世界館で仕事を始めたきっかけは

高校のとき同級生だった落語家、三遊亭白鳥が真打ちになったときに後援会をつくり、落語会を開いたのがきっかけ。「高田の街が寂れているから、世界館を使ってみたら
と商工会議所から言われたのが15年前。廃墟と化していた世界館の維持費を捻出するため、2009年にNPO法人「街なか映画館再生委員会」を発足させました。


高田世界館内観

− 映画はお好きですか

映画そのものよりも、映画館を通して人を動かすことが好きなんでしょうね。映写機があり、映画を上映できる環境がある。その利点を生かすのが良いと思いました。


映写室。このようにフィルムを使う映画館は稀少。

− 仕事で大切にしていることは

高田世界館の周りには高田城や色んなものがあるので、その中心的存在として、この場所を際立たせたいですね。そのためにはありとあらゆるメディアに取り上げてもらうことが大切です。小さな映画館だからこそできることがあって、近隣の大きな映画館では上映しないような、ちょっと変わった映画をかけて欲しいという話はこちらに回って来る。人が面白いなって思うことをやるのが大事です。スタッフのほか、このNPOを立ち上げる際に集まった建築や法律などの専門家、仲間の力は大きな助けとなります。

− 今後の展望は

全国チェーン展開!
小さな地方映画館のネットワークをつくるべく、まずはここで実績をつくる。ここを聖地にしたいんです。映画だけではなく、色んなイベントができる施設として発信していくことで、新しい街づくりになると思います。最後は、ここが舞台の連ドラができたらいいですね(笑)。

− 画家、広告業、映画館の運営。ムサビ生にとっては夢のような働き方だと思うのですが、その秘訣は

若い頃の「貯金(経験)」を、その後の仕事の中で組み合わせることで面白いものが出来ていく。そのために若い頃は色々な試行錯誤をすることだと思う。

− ムサビ生に向けてメッセージをお願いしたいのですが

地方なら地方で影響を与えられるようになって欲しい。この街を歩くと、みんな口を揃えて「電線が邪魔ですね」と言う。電線だらけにしたら、逆に物凄く面白いと思う。みんなが見落としているものを面白がるセンスを広げて欲しいですね。


雪の舞う高田の街を案内して頂いた際に車窓から撮ったもの。言葉通り電線がたくさん走る町並み。雪下ろしのためのハシゴが各家屋の屋根に付いているのが雪国に縁のない筆者には新鮮だった。

− 編集後記

映画館の代表でありながら「映画は好きじゃない」と笑う岸田さん。たくさんの人とともに高田世界館を盛り上げ、全国でチェーン展開をするという「野望」をお持ちであることは興味深い。高田だけでなく全国の地方再生の可能性も秘めている。
「天職」は見つけるものというより、与えられたものを存分に生かすことで見つかるものなのかも知れない。「映画は好きではないから」と敬遠していたら、「この場所でどうしたら面白いことができるか」を考える機会はなかっただろう。高田世界館を保存していこうという気運にのって仕事に邁進するうち、一番好きな画業も含め成功している岸田さん。その多岐にわたる仕事の全ては、天職そのものだと思った。

取材:千田道代(14通デコミ/小・高美術講師)

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